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2011.01.01
「・・・・・・見つかりませんでした」

「ぶっ っくくく・・・・・」

一度吹き出したモモが、口に手を当ててなんとか笑いを堪える。日が傾いてきたので、ここで大笑いなどしたらそれこそ自殺行為である。

「いや、違うんですよ姫様。俺たちがキャンプ地まで戻れなかったのはしょうがないんですよ! だって、隊長達が皆して俺たちを泣かせようと、テント畳んで撤収してたんです! 獣狩って、帰ってきたら『あれ!? いない!?』ってあわあわするのを見たいって言って皆で口裏合わせて俺たちをハメたんですよ! ご丁寧に遠視用魔術まで仕掛けて!!」

「うるさい。耳元で騒ぐな」

一喝である。確かに天坂は少々声を張りすぎだったが、それを無情にも一言で切り捨てる。「・・・・・・すみません」、と半分以下の声量で答える天坂に少し同情してしまう。

それにしても、いくら軍人だからといっても15の少年を夜の森に置いていくとは随分な大人たちである。安全面は大丈夫だっただろうが、これは一生のトラウマにもなりかねない。というか、天坂はすでにトラウマになっているようだ。

「自力で森を出ようとしたんですけど一寸先は闇ですし、獣が寄ってくるので光も使えないので結局その場で野宿しましたよ・・・・・・。そして朝になってキャンプ地に戻ってこないので変だと思った先輩達に見つけてもらって、救出されました」



「よかったじゃないか」

「・・・・・・まあ、よかったといえばそうですけど。でも、あんな体験は二度としたくないですね」

そういいながら天坂は手元の地図とコンパスを見る。今回はあの時のようなへまはしない。

そんな天坂を横目で見つつ、てか森なんて歩いてればどっかに出られんじゃね、と森を舐めきった思考をするモモ。普通の人ならば森から出られるどころかさらに遭難する未来へまっしぐらな考えだが、モモならば最短ルートで出てきそうだから困ったものである。

「んー・・・、でも遭難かー・・・・・・なんか、楽しそうだな」

「たの・・・っ 何を言ってるんですか姫様!!」

「冗談だよ、じょーだん」

けらけらと笑うモモに、冗談にしても笑えない!! と、顔を青くする天坂。そんなことになったら自分の首を撥ねられかねない。

「他には無いのか? 天坂隊員の痴話は」

「痴話言わないでください!! 無いですよ、あるわけ無いです!!」

「・・・・・・本当かぁ?」

ぎゃあぎゃあと私達はここですよと言わんばかりの大声で騒いでいるというのに、先ほどと打って変わって獣の一匹も寄ってこない。やはり、獣も自分の命が惜しいのだろうか。むしろ獣の一匹でも出てきてくれれば・・・・・・、とモモにいじられ続ける天坂は心で思った。


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